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購買プロセスの内部統制のポイントは?購買業務の不正リスクも解説

投稿日:2026.04.02

購買プロセスの内部統制のポイントは?購買業務の不正リスクも解説

購買プロセスは、企業運営において欠かせないプロセスです。商品や原材料の調達は、企業の日々の業務だけでなく、長期的な戦略と成長にも大きく影響を与えます。しかし、購買プロセスには多くの不正のリスクが潜んでおり、企業の財政状態や信用に損害を与える可能性があります。本記事では、購買プロセスにおける内部統制の重要なポイントを説明しながら、購買業務に潜む不正リスクとその防止策について詳しく解説します。内部統制を適切に整備及び運用することは、不正行為を防ぎ、企業の持続可能な成長を支える鍵となるでしょう。

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購買業務とは?

購買業務(購買活動)とは、企業が必要とする商品や原材料を外部から調達するための重要なプロセスです。購買業務には、仕入先の選定、価格交渉、注文、商品の検品、代金の支払までの一連の流れが含まれます。この購買業務に関する一連のプロセスは購買プロセスと呼ばれています。

適切な価格で適切な材料を確保することは、企業の生産効率と事業の持続可能性に直結するため、購買業務は経営戦略の重要な一部として位置づけられます。購買業務の遂行には、そのビジネスにおける知識と経験が必要です。特に、新規取引先との契約締結においては、支払条件や品質、納期等の詳細な検討が必要となるケースがほとんどです。

購買プロセスにおける内部統制が必要な理由

購買プロセスは、商品や原材料の調達を管理する業務であり、企業の業績や事業の継続性に大きな影響を与えます。

そのため、購買プロセスに対する内部統制は企業にとって極めて重要です。内部統制は不正行為を防ぎ、購買プロセスの透明性を確保するために必要となります。購買業務には、水増し請求、架空取引、資産の横流しといったリスクが存在し、これらは企業の資産を不正に流出させる可能性があるため、特に警戒が必要です。

内部統制の一環として、例えば、発注担当者と発注承認者や、発注担当者と支払担当者を分離する、取引先との関係において癒着を防ぐために定期的に人事異動を行うなどの措置を講じることが挙げられます。これにより、癒着や不正行為などのリスクを減少させることができます。また、不正行為が発生した場合、企業の信頼性やレピュテーションに大きな損害を与える可能性があり、経済的損失だけでなく、社会的信用の失墜も招く恐れがあるので注意が必要です。

さらに、企業の財務報告の適性性を保証することも購買プロセスにおける内部統制の役割です。適切な内部統制により、購買データの正確性が保たれ、会計処理の信頼性が向上します。これにより、購買プロセスの適切性に関して、投資家からの信頼を得ることができ、企業の長期的な健全性を維持することに貢献します。そのため、購買プロセスにおける内部統制の確立は、企業運営の基盤を強化し、持続可能な成長を促進するために不可欠です。

購買業務に関わる代表的なリスク

購買業務は、企業の業績や事業の継続性に大きな影響を与える重要なプロセスです。しかし、購買業務は多くのリスクを内包しており、内部統制の整備及び運用が必要です。代表的なリスクには、担当者と取引先の癒着による不正、購買業務の属人化、及び水増し請求などの不正があります。これらのリスクは、企業の信用に甚大な影響を及ぼす可能性があり、防止策を講じることが重要です。

内部統制とリスクについては、次の記事を参考にしてください。
内部統制におけるリスクとは?リスクの評価と対応の重要性と手順

担当者と取引先の癒着による不正

購買業務においては、担当者と取引先との癒着が発生するリスクがあります。癒着が発覚するきっかけは、不適切な価格設定(水増し請求)、架空発注などの取引先との共謀によることが一般的です。担当者が取引先と密接な関係を築くことにより、企業にとって不利益な契約を結ぶことや、不正な取引を隠蔽し、キックバックすることが容易になるのです。このような癒着は、企業の資金をいたずらに社外流出させ、企業の信用を損なう重大なリスクを生じさせます。

購買業務の属人化

購買業務の属人化とは、特定の担当者に業務が依存する状態を指します。属人化は、業務の透明性を低下させ、不正行為を隠蔽しやすい環境を生み出します。特定の担当者が長期間同じ業務を担当することで、取引先との不適切な関係を築く可能性が高まるのです。また、属人化が進むと、担当者の退職や異動時に業務の継続性が損なわれ、業務の効率が低下する恐れがあります。

これらのリスクを最小限に抑えるためには、効果的な内部統制の構築と適切な監視体制の確立が不可欠です。定期的な監査、透明性の高い取引プロセスの確立、そして担当者の定期的なローテーションが、購買業務におけるリスク管理において重要な役割を果たします。

購買プロセスにおける内部統制で押さえるべきポイン卜

購買プロセスにおける内部統制は、企業が効率的かつ効果的に運営を行うための重要な要素です。内部統制の目的は、不正行為を未然に防ぎ、業務の透明性を保ち、最終的には企業の経済的な利益を保護することにあります。購買プロセスにおける内部統制を強化するためには、以下のような複数のポイントを押さえる必要があります。

購買管理規程の策定

購買管理規程を策定することは、内部統制の基礎を固める最初のステップです。この規程は、購買プロセスに関するルールや手順、ポリシーを文書化し、全社員に明確に伝えるものです。規程には、総則、購買計画の策定、取引先の選定基準、発注手続、検収プロセス、仕入れ計上、支払手続など、購買に関連する各種のポリシーが含まれます。これにより、購買業務の透明性が高まり、不正行為の防止につながります。

明確な購買基準・サプライヤ選定基準の設定

購買基準とサプライヤ選定基準を明確に設定することは、購買プロセスにおける不正行為を防ぎ、最適なサプライヤとの取引を実施するために必要です。購買基準には、商品の仕様、購入条件、選定条件などを定め、サプライヤ選定基準には信頼性、品質、価格、納期などを考慮することが重要です。これにより、個人の裁量による不適切な取引を防ぎ、安定した資材の調達を可能にします。

職務分掌

購買業務における職務分掌は、不正行為の発生を抑制します。発注担当者、検収担当者、支払担当者など、各担当者の職務を明確に分けることで、1人の担当者が購買プロセス全体を掌握し、不正を行う可能性を減らします。また、担当者の定期的なローテーションを行うことで、癒着や属人化を防ぐことができます。

発注手続・検収手続の適正化

発注手続と検収手続を適正に行うことは、購買プロセスにおいて重要です。発注手続では、発注部門からの購入依頼に基づいて発注を行い、サプライヤの選定や購入価格の決定には責任者の承認が必要です。検収手続では、発注担当者以外が納品された商品が発注通りであるかを確認し、問題がなければ受領します。このように、発注と検収のプロセスを分離し、透明性と責任の所在を明確にすることが重要です。

買掛金残高管理の徹底

買掛金残高管理は、支払業務の重要な側面です。仕入先元帳と請求書を照合し、重複支払を防ぐために、買掛金残高を厳密に管理する必要があります。これにより、財務報告の正確性が保たれ、企業の財務数値に正確な反映がされます。

購買状況の可視化

購買状況の可視化は、内部統制を強化し、購買プロセスの透明性を高めるために重要です。購買データを分析し、リスクの高い取引や異常な取引パターンを識別することで、問題が早期に発見され、対処が可能になります。また、定期的なレポートやダッシュボードを用いることで、経営陣や関係者が購買活動をリアルタイムで把握し、適切な意思決定を行うことができます。

以上のポイントを実行することにより、購買プロセスにおける内部統制は効果的に機能し、企業のリスク管理と財務健全性を保つことが可能になります。

購買プロセスの内部統制に必要な購買管理規程のポイント

購買プロセスにおける内部統制を強化する上で、購買管理規程は重要です。購買管理規程には、企業が商品やサービスを購入する際のガイドラインとなる内容が包括的に定められています。その主要なポイントを以下に示します。

  1. 購買計画の策定
    • 購買活動を効率的かつ効果的に行うためには、事前に購買計画を策定することが重要です。これには必要な物品やサービスのリストアップ、予算の設定、タイムラインの策定などが含まれます。
  2. 取引先の選定基準
    • 購買管理規程には、サプライヤの選定基準も明確に記載する必要があります。品質、価格、信頼性、納期遵守の状況など、具体的な選定基準を設けることで、最適なサプライヤを選ぶことが可能になります。
  3. 発注プロセスの定義
    • 発注プロセスに関する明確なガイドラインを設けることで、誤発注や不必要な購入を防ぎます。このプロセスには、誰が発注権限を持つのか、どのような手順で発注が行われるのかを含めるべきです。
  4. 検収と品質管理
    • 商品が納入された際の検収プロセスも規程内で定義する必要があります。これには、品質基準、数量の確認、破損や欠陥があった場合の対応プロセスが含まれます。

適切に策定された購買管理規程は、購買プロセス全体の透明性と効率を向上させ、企業のリスクを軽減します。規程は定期的に見直し、変化するビジネス環境や市場条件に適応させることが必要です。

購買プロセスの内部統制のチェック項目の例

購買プロセスにおける内部統制の目的は、購買業務の適切性を担保し、一連の購買業務に関する不正を防止することにあります。以下に、購買プロセスの内部統制においてチェックすべき主な項目を例示します。

  1. 取引先マスタの登録・変更・削除を行う場合、購買部門担当者が「マスタ登録・変更依頼書」を起票し、購買部門責任者の承認を得た上で情報システム部門に作業を依頼する。
  2. 購買部門責任者は、購買部門担当者が「取引先継続確認一覧表」に基づいて実施した、取引先マスタの登録内容の正確性及び削除の可否の確認結果を査閲し承認する。
  3. 購買管理システムでは、取引先マスタに登録されている仕入先、購買物品の発注のみ入力することが出来るように制御されている。
  4. 購買管理システムに入力された発注データは、承認権限者(購買部門責任者)による承認入力により、発注残データとして確定する。また、承認された発注データは、在庫管理システムに転送されて、入荷予定データとして記録される。
  5. 検収部門担当者は指定納品書と納品物の一致を確かめ、一致していれば指定納品書に検印を押印する。
  6. 検印押印済みの指定納品書をバーコードリーダーで読み取らせると、在庫管理システム上の該当する入荷予定データとリアルタイムで自動的に照合され、一致したもののみ入荷データに変更される。
  7. 検収部門責任者は、未検収となっている当日入荷予定データを「未検収リスト」として日次で在庫管理システムから出力する。検収部門担当者は未検収の原因を調査し、その結果を検収部門責任者が承認する。
  8. 購買部門責任者が日次で購買管理システムの締切処理を実行することにより、在庫管理システム上の入荷データは購買管理システムに転送されて仕入(仕入債務)データとして記録される。
  9. 購買管理システムでは、在庫管理システムからの入荷データの転送時に仕入金額が自動で計算される。
  10. 会計システムでは、購買管理システムから転送された仕入(仕入債務)データ(返品データ含む)により、検収日を取引日として仕入、買掛金等の自動仕訳が起票される。
  11. 購買部門担当者が、購買依頼部門責任者の承認済みの「仕入返品申請書」に基づき、購買管理システムに返品入力すると、「仕入返品一覧」が出力される。購買部門責任者が、「仕入返品申請書」と「仕入返品一覧」とを照合して一致を確認した後、購買管理システム上で仕入返品処理を承認することにより、仕入返品データが確定する。
  12. 確定した仕入返品データはリアルタイムで在庫管理システムへ転送され、返品データとして記録される。検収部門責任者が在庫管理システム上で返品データを承認することにより、返品データ(マイナスの入荷データ)が確定されるとともに、返品伝票が出力される。検収部門担当者は商品に返品伝票を添付の上、返品出荷処理を行う。
  13. 職務分掌/分担に応じて、購買管理システム上の権限区分が設定されている。・取引先マスタの登録・変更・削除は、情報システム部門担当者のみ実行可能・発注データの承認入力は購買部門責任者のみ実行可能・購買部門責任者は発注入力ができない。・購買管理システム上の締切処理は、購買部門責任者のみが実行可能

引用: 【別紙2】購買プロセスに係る内部統制

内部統制の評価項目については、次の記事を参考にしてください。
全社的な内部統制に関する42の評価項目例とは?実施基準の具体的な内容を紹介

まとめ

購買プロセスの内部統制は、企業の健全な運営を守るための重要なプロセスです。明確な購買管理規程の策定、適切な発注手続と検収手続の適正化、職務分掌の実施、サプライヤ選定基準の設定、買掛金残高管理の徹底など、さまざまな要素が組み合わさって、購買業務の透明性と効率を高めます。

本記事を通じて、購買プロセスにおける不正リスクの理解を深め、それを防ぐための具体的なアクションプランを解説しました。企業はこれらのポイントを定期的に見直し、適切な内部統制を維持することが、健全な経営基盤の構築につながります。


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