株式会社ベーシックは、「AIワークフローカンパニー」として、AIとテクノロジー、仕組みの力でフロントオフィス業務の自動化や効率化を行い、企業のDX推進と日本の生産性向上を支援しています。2026年3月に東証グロース市場へ新規上場し、smoove J-SOXを活用して上場を果たした第一号企業となりました。
内部統制報告制度(以下、J-SOX)に長年携わってきた公認会計士の清水氏と、異動を機にJ-SOX業務を担うことになった羽渕氏。お二人に、上場準備におけるJ-SOX3点セット作成の裏側と、smoove J-SOXがもたらした変化についてお話を伺いました。
つながらない3点セット、伝わらない“正解”
お二人は、どのような経緯でJ-SOXを担当されることになったのでしょうか?
清水氏:入社時から内部統制の担当と明示されていたわけではありません。上場準備を進めるにあたって、どこかで誰かがやらなければいけないという中で、監査法人時代の経験もあり、私が内部統制の構築を担うことになりました。
羽渕氏:私はコーポレート部門への異動を機に、J-SOXに初めて携わることになりました。清水に教えてもらいながら、一つひとつ学んで進めてきた形です。
smoove J-SOX導入前、3点セットの作成はどのように進めていましたか?
羽渕氏:当初はスプレッドシートやドキュメントを使い、手探りで進めていました。フローチャートの三角や四角の図形に触れながら、「こういうものなんだ」と形から理解していったような部分がありましたね。ただ、リスクとコントロールのつながりについては、どこか腹落ちしきれないまま作業を進めていた自覚があります。
清水氏:顕在化した問題があったわけではないのですが、社内の他の領域ではDX化が進んでいた一方で、J-SOXの領域はドキュメントとスプレッドシートのままでした。バージョン管理がうまくいかなかったり、本来つながっているはずの3点セットの連動が取れなかったり。特にこれから内部統制を構築していくタイミングでは、“正解”が私の頭の中にしかなく、それをうまく伝えるのが難しいと感じていました。
「とりあえず入れてみよう」を後押しした、DXに前向きな社風
smoove J-SOXを導入いただいた経緯を教えてください。
清水氏:知人からのご紹介がきっかけです。当時は手元のGoogleドライブなどで文書を管理しており、専用ツールを使うという発想自体がなかったので、他のツールとの比較検討は特にしませんでした。
ご紹介からそのまま導入まで、迷いはなかったのですか?
清水氏:ドキュメントやスプレッドシートで作業自体はできるものの、このままでいいのかという課題感はありました。そこで「じゃあ、とりあえず入れてみよう」と。当社には先進的なものをいろいろ試してみようという文化が強くあります。価格が手頃だったことも後押しになりました。
3点セットの連動で、点と点が「線」でつながった
導入後、一番大きな変化は何でしたか?
羽渕氏:やはり「点と点が線でつながった」ことです。世の中にはJ-SOXの教材がたくさんありますが、読んでも実務との結びつきが見えにくいんです。ここがリスクだとして、では何をしなければいけないのか。自社のプロセスに落とし込んだときも、清水の言っていることはわかるけれど、完全には自分の中に落とし込みきれないまま進めていた部分がありました。
それがsmoove J-SOXでは、フローチャートのここを変えると、RCM(リスクコントロールマトリクス)のこちらが連動して変わる。「だから、ここをやらないといけないんだ」と、ようやく腹落ちできたのが大きな変化でした。
清水氏:フォーマットがきれいに整っていて、「ここを動かすとここがつながる」「ここを引っ張るとRCMにつながる」というのが目でわかりやすいんですよね。上場準備を進めるうえで、頭の中の正解を伝えるという課題も、smoove J-SOXで解消できたと感じています。リスクのつながりが見えるようになったことで、どこを厚めに書き、どこを簡潔にするかという記述の濃淡もつかめてきて、3点セットの内容は年々ブラッシュアップできています。
(smoove J-SOX フローチャート作成画面)
社内の議論にも変化はありましたか?
清水氏:J-SOXは、極端に言えば形式だけ整えることもできてしまいます。しかし3点セットがつながっていることで、「実際にどこにコントロールを置くべきか」「内部統制対応として効果が出るものは何か」「効率化できるものは何か」といった議論自体がしやすくなりました。羽渕からも「ここはおかしいんじゃないか」という気づきや疑問が、以前より出やすくなったと思います。
気づきが業務改善の起点になる「AIリスクスキャン」
活用いただいている機能はありますか?
羽渕氏:AIリスクスキャンです。あれ、すごく楽しいんですよ(笑)。業務に何年か慣れてしまうと、既存のプロセスの問題には気づきにくくなります。AIリスクスキャンは「一般的にこれはリスクですよね」というものを違う目線で教えてくれるので、「確かにそうだ、どうなっているんだろう」と事業部に確認しに行くきっかけになります。
(smoove J-SOX AIリスクスキャン画面)
羽渕氏:その気づきを受けて、「ここは今後変えていかないといけない」「ここはより注視して見ていかないと」と判断し、実際にRCMを変えたり、事業部側のプロセスについて一緒に相談したりしたことが何度かありました。
事業部と相談して仕組みを変えたあと、もう一度スキャンをかけて指摘が一気に減っていると、嬉しい気持ちになりますね。
監査法人との形式的な指摘が減り、社内リソースのみで上場へ
上場準備では監査法人とのやりとりも増えると思います。変化はありましたか?
清水氏:私が監査する側だったときは、「この資料とこの資料が整合していません」といった形式的な指摘も結構していました。smoove J-SOXでは3点セットが連動しているので、コントロール番号のずれのような不一致は起きにくく、そうしたやりとりが減ったのはお互いにとって良かったと思います。
上場準備全体を振り返って、smoove J-SOXはどのような存在でしたか?
清水氏:導入前後を単純に比較するのは難しいのですが、少なくとも「内部統制の対応に工数を取られて、外部人材を活用しないといけない」という状況にはなりませんでした。社内のリソースのみで上場準備を進められたという点で、大きな差があったと思います。
要望が数か月後に実装される、開発とサポートのスピード感
サポート体制はいかがでしたか?
羽渕氏:率直に言うと、すごくありがたかったです。導入当初はミーティングで丁寧にご説明いただきましたし、わからないことがあればすぐに返信をいただけました。なので、困ったことはほとんどなかったんです。
「これってこうならないんですか?」という質問や要望も、遠慮なく何個もお伝えしていた記憶があります。そうすると数か月後には「修正しました」と連絡をいただいて。スピード感のある会社さんだなと感じていました。
清水氏:以前お願いしていたPDF出力も、おかげさまで実現しました。
smoove J-SOXの中でJ-SOXが完結する未来へ
今後、smoove J-SOXに期待することを教えてください。
清水氏:smoove J-SOXの中で、内部統制報告書を出すところまでJ-SOX業務のすべてを完結できるようになると嬉しいですね。すべてがつながって評価までできるようになることを期待しています。
羽渕氏:新しい機能がリリースされると、気になってすぐ触ってみるんです。楽にできることはどんどん取り入れたいので、これからの機能拡充も楽しみにしています。
まとめ:「腹落ち」と「伝えやすさ」がチームの共通言語をつくる
株式会社ベーシックの事例で特徴的なのは、J-SOXを熟知した公認会計士と、実務を担う担当者の間で、smoove J-SOXが共通言語の役割を果たした点です。
3点セットが連動していることで、実務担当者は「なぜこの統制が必要なのか」を納得しながら理解でき、経験者は頭の中の正解を伝えやすくなる。気づきや疑問が自然と生まれる対話を通じて内部統制の構築が円滑に進んだことが、社内リソースのみでの上場という成果につながりました。
smoove J-SOXを活用して上場を果たした第一号企業として、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。